サイトのTOPへ
ハイビジョンの勘違い

 テープの説明で軽く触れましたが、ぜひハイビジョンと今までのテレビの違いを説明して欲しいとの要望が直接私にありましたので説明します。実際にかなり勘違いされているようです。


勘違い@ 
  ×「ハイビジョンテレビは世界共通語である」

『ハイビジョン』とはNHKが付けた名称で日本でしか通用しません、最近では
HDTV(エイチ・ディ・ティ・ブイ)
(High Definition TeleVision - 高品位テレビ
または高精細テレビ)

とも言います。規格の話をするときにはHDTVという場合が多いです。海外ではこちらが一般的な言い方です。ただし日本の場合は通称として
『ハイビジョン』がよく使われますので今回もこちらを使います。
それに対して今までのTVを
『SDTV』(Standard Definition TeleVision)と言います。

 パソコンなどで『HD』と言うとこれは『ハードディスク(Hard Disk)』を指す場合が多いです。『HDD』と書いてある場合は『ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)です。
 また、
放送用のデジタルVTRの背面には『SD』と書いてある場合がありますが、これは『シリアルデジタル(Serial Digital)』の事を言います。省略語は使う場所が違うと意味も変わりますので要注意!


勘違いA
  
×「横長画面(16:9)は全てハイビジョンである」
DVDの映画等は16:9の横長画面ですがハイビジョンではありません。カメラさえ用意すればノーマルのベータカムでもD2でも16:9で録画できます(ただし自動検出は不可)。DVカメラ等も16:9モードが用意されていますがハイビジョンではありません。
どの程度画質に差が出るのかイメージで比較してみます。それぞれの比率はほぼ同じになるようにしてあります。画質の差もぼほ計算で同じになるようにしてあります。

TV画面サイズの違いによる見え方のイメージ
DVDやDVの16:9 ハイビジョン
15インチ画面
20インチ画面
40インチ画面
小さな画面で見ていると違いはそれほど感じません。しかし、今後、TVの大画面化が普及するにつれはっきり感じるでしょう。
ただ、現在(2005年6月)売られている大型テレビでは まだ画質がそれほど良くないのと、
補正回路によってでここまで差が出ないかもしれません。



勘違いB
  
×「ハイビジョンのTV規格は世界共通である」
電波という考え方からは3つの方式が採用されています
 日本の方式は他の国ではまったく採用されておらず孤立してます。
 アメリカの方式カナダ・メキシコ・韓国などで採用されています。
 ヨーロッパ方式が実際には世界標準方式と言えるくらい広まっています。

ただし、
走査線数だけは1080本に数年前に規格が統一されました
そうは言ってもいろいろな物が
数種類あります。
また
1秒間の枚数日本・アメリカなどは60フィールドですが ヨーロッパでは50フィールドです。これって 規格統一されたことになるのでしょうか?



勘違いC
  
×「ハイビジョンの録画テープは簡単にテロップを消すことができる」
思ったよりも多くの人が思っているみたいです・・・・できません
テロップの入っている完成したテープテロップの入っていないテープの二本があれば可能ですが、完成テープしか無い場合は基本的に無理です。(一部の特定条件を除く)

これはどうやら
DVDの普及が勘違いの原因かもしれません。
それと、
『ハイビジョン+デジタルテープ=最新技術』のイメージが強いのでしょうか?テープの中にテロップが別に入っていて、DVDの字幕のようにON/OFFできると思われているようです。
ノンリニア編集の普及も勘違いの原因かも知れません。『タイトルトラック』があってやはりON/OFFできると思われています。
しかし、『ビデオテープ』ということでは家庭用のアナログのVHSとまったく変わりないのです。



勘違いD
  
×「デジタルVTRならば画質は全て同じである」

ハイビジョンでも今までのテレビでもVTRの種類によって画質は違います
横方向の画素数 縦方向の画素数 有効画面の総画素数 ビットレート
ハイビジョンの基本サイズ
(ノンリニアで非圧縮の場合)
1920 1080 207万画素 約995Mbps(8bit)
約1244Mbps(10bit)
HD−CAM 1440 1080 155万画素 約140Mbps
DVCPRO HD 1280 1080 138万画素 約100Mbps
HDV 1440 1080 155万画素 約25Mbps
数字は頭が痛くなるという人・・・・数字を覚える必要はありません 安心してください。
どちらが大きいか比較するだけで結構です。
画素数だけ見るとDVCPRO HDよりもHDVの方が上ですが、
実際の画像は明らかにHDVよりもDVCPRO HDの方が上です。それはなぜでしょう。
VTRの画質は画素数だけではきまりません。ビットレートが大きく影響しています。
ビットレートってなんでしょうか?
映像データなどを送るときの1秒間に送るデータ量数字が大きいほど高画質です。
全体のイメージとしては、画素数が絵を画くときのキャンバスの大きさにあたります。
ビットレートは筆の太さ・・・・かな(笑)。筆が太いと細かいところを描くことができません。

イメージ過ぎてわからない?・・・・・それでは

DVDを自分で作る場合や DVDレコーダーで録画する場合に画質を設定しますよね?
高画質・標準・長時間みたいな設定があったらそれです。

高画質モードだとビットレートは高くなります。
長時間モードだとビットレートは低くなります。

ノンリニア編集『非圧縮』と比べるとVTRの方が圧倒的にビットレートが低いですね。
これは画質にも大幅に影響します。
ただ、表には入れませんでしたが地上波デジタルの場合では放送されているものが約15Mbpsなので家庭用のHDV(25Mbps)よりも劣ります
ちょっと悲しいです。

他にも画質の違いがでる要素はありますが複雑になるのでこのくらいにしておきます。



低ビットレート 高ビットレート
ビットレートが低いと画面がモザイク状になりやすかったり、画面がザラザラした感じになります。
(注:この画面は同期して動いていません。パソコンによってはズレて見えているかも。)


上の表を見ていて変なところがありませんか?
HD−CAMは画素数が1440×1080DVCPRO HD1280×1080
どちらも16:9になりません、これはどういう事でしょうか。

VTRの画素数が16:9になっていない理由
データの量を減らすため収録時に横を縮めて、再生時に横を引き延ばして見た目を元の状態に戻しています。
当然の事ですが画質は落ちます。

横を縮めて再び伸ばすと どのように画質は落ちるか
(わかりやすく説明するのため実際より引き延ばし率を大きくしてあります)
縮小前の画質 一度縮めて伸ばした画質(VTR)
横長サイズの画素の方がぼやけていますね。正方形の画素の方が高画質です。
正方形の画素で非圧縮(画質劣化無し)なのはノンリニアにはありますが、デジタルVTRでは画質が劣化します。


 注 意
 HDCAMの素材をノンリニア編集(非圧縮)で行った場合でも、元のVTRより高画質にはなりません。新たな勘違いを起こさないように注意してください。
 ノンリニアで編集を非圧縮で行うのは、画像に対して合成・加工を繰り返す場合に少しでも劣化をしないようにするためです。



直線上に配置